今年よかったもの<3> 映画 

桐島、部活やめるってよ

 この息苦しさ、密度、役者の微妙な演技。クライマックスでBGMとなるブラスバンドの演奏の音圧はDVDでなく劇場で。ロングラン、復活上映が繰り返されたが、来年2月のDVD発売が決まってしまい下火になってしまったが。

 40歳仕事持ちとしては映画館に相当足を運ぶほうだが、批評家の間でも絶賛の声が多かった本作は凄かった。
 劇場で2度観たが、演技と脚本はやはり秀逸。どのシーンにも無駄がない。
 いかにしてこの演技を引き出したか、の撮影の現場や、映画化のいきさつなど、パンフレットも価値ある内容。

 原作の小説は、読んだが何も感じなかった。大胆に小説のあるエピソードを切り捨てる一方で、ゾンビ映画という原作にでてこない設定を取り入れた脚本も見事。小説のト書きより演技が数段上回っている。20代のプロデューサーがこれを読んで映像化したいと思ったのは、若い感性か。

 「ふがいない僕は空を見た」、ここ数年の一連の園子温作品、資本を使ってヒットを狙ったものでも「悪の教典」はよかった。制作委員会方式で有名俳優を使ってるだけという印象しかなかった邦画に、新しい動きがある。

 今年公開映画でDVDでも十分楽しめるのは「おとなのけんか
 79分という短い作品。劇場では噴き出しっぱなしだった。タイタニック後の貫禄の出てきたケイト・ウィンスレット、神経質そうなジョディ・フォスターのキャスティングが素晴らしい。